友人との会話にいつも聞き役に回ってしまう50代女性の悩み。あなたが「聞き役」に回ってしまうのは、決して話す力がないからではありません。むしろ相手に安心感を与える包容力がある証です。
しかし、あなたにも語る権利と必要があります。まずは「私はこう感じたんだけど、あなたはどう？」と一言、自分の感情を主語にして投げ返す練習をしましょう。会話は質問で生まれ、共感で続き、感想で深まります。
相手の独演が始まったら、タイミングを見て「今の話、こう理解したけれど合っている？」と要約し、同意を得たうえで「私も似た体験があってね」と自分の話をつなぎます。「話の腰を折るのは悪い」という思い込みを外し、キャッチボールを続けるための“合いの手”と考えてみてください。
それでも話が戻ってこない相手とは、距離を取ってもかまいません。友人とは互いの物語を交換し合う関係であり、あなたが永遠の聞き手でいる必要はないのです。会話の後に疲労感や空虚さだけが残るなら、その関係はメンテナンスの時期に来ています。あなたの時間とエネルギーは有限です。信頼できる相手と対話を重ねた方が、人生は豊かになります。
沈黙を恐れないこともポイントです。相手が息継ぎの間を埋めるように延々と話すのは、沈黙が怖いからかもしれません。その隙に「今のところ、私はこう考えているよ」と穏やかに言い添えれば、流れを変えられます。重要なのは声量ではなく意図です。穏やかでも芯の通った声で話せば、相手は耳を傾けざるを得ません。
また、あなた自身が「聞き上手＝価値」と思い込みすぎていないか点検しましょう。聞くことは尊い美徳ですが、それだけがあなたの存在価値ではありません。子どもの頃から「いい子」に期待され、相手を優先する癖が身についている場合、自分の気持ちを語ることに罪悪感を覚えがちです。まずは親しい人に「今日10分だけ私の話を聞いて」と頼む小さな挑戦から始めてください。場数を踏むほど、自分が「話すに値する人間」だと体感できます。
最後に、自分の声を育てるセルフトレーニングを紹介します。①短い近況を紙に書き、声に出して60秒で語る。②週に一度、好きな本の一節を朗読し、録音して聞く。③鏡を見ながら「今日嬉しかったこと」を30秒で語り、笑顔で締めくくる。これらを続けると、発声と自己開示の筋肉が鍛えられ、自信が生まれます。あなたの物語を語る準備は、もうできています。勇気を出して、次の会話で一歩踏み出してみてください。
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