読売新聞[人生案内]に、自炊しない70代の両親が、カップ麺やコンビニエンスストアの弁当ばかりを食べ健康に不安。母親は自炊して欲しいものの作るのが面倒。帰省したとき料理を一緒に作るものの長続きしない。宅配サービスを提案するが、料金が高いと拒否。今後も健康で長生きしてもらうために、どうしたらよいかとの娘の相談。
高齢のご両親がカップ麺やコンビニ弁当に頼る生活を続けている姿を見ると、子としては心配が尽きません。ただ、当人たちが現状に不満を感じていない場合、外からの「正論」は意外と届きにくいものです。
無理に変えようとするより、「できる範囲で支える」視点が現実的です。例えば、乾いた畑に一気に大量の水を流しても、土は吸いきれず流れてしまいます。けれど、少しずつ水を与え続ければ、やがて土は潤い、植物も根を張ります。
食生活の改善も同じで、一度に理想へ引き上げるより、小さな積み重ねが効きます。まずできるのは、帰省時に1週間分ほどの作り置きを用意すること。冷蔵・冷凍で分け、温めるだけで食べられる状態にしておけば、「面倒」という壁を一つ取り除けます。また、宅配食が高いと感じるなら、費用の一部を負担するのも一案です。健康維持は、将来の医療費や介護負担を考えれば、家族全体の投資とも言えます。
一方で、「なぜ食べるのか」という視点も大切です。体は日々の食事で作られています。大げさでなく、「生かされている体へのお礼」として栄養を届けるという考え方を、穏やかに伝えてみるのも意味があります。
さらに、お父様に「料理をしてみる」という提案も面白い切り口です。時間のある今だからこそ、料理は単なる家事ではなく、新しい挑戦になります。レシピを見て作り、食べて振り返り、次に改善する――まるで仕事のように試行錯誤を楽しめます。最初はうまくいかなくても、自分好みの味に近づけていく過程に達成感が生まれます。
既製品は便利ですが味が画一的で飽きやすい一面があります。一方、自分で作る料理は自由度が高く、工夫次第でいくらでも広がります。低コストでありながら、楽しみと健康の両方を得られるのです。
親の生活を変えることは簡単ではありません。しかし、小さなきっかけを重ねることで、少しずつ変化が芽生えることもあります。無理に正すのではなく、寄り添いながら「選択肢」を増やしていく――それもまた、ひとつの親孝行の形ではないでしょうか。

コメント