読売新聞[人生案内]に、20代女性が仕事で同じ失敗を繰り返し、そのたびに「なんてバカなんだろう」と落ち込み要領が悪い自分が嫌いになる。失敗を一覧表にして再発防止に取り組むものの効果がでない。自分の思いを伝えることも苦手で、「日が浅いので仕方ない」と慰められることに、申し訳なく情けなく一層落ち込むようです。この状況をどう改善したらいいかと悩む投稿でした。
仕事で同じ失敗を繰り返すと、誰でも「自分はなんて駄目なんだろう」と心が折れそうになるものです。特に真面目な人ほど、失敗を強く受け止め、自分を責め続けてしまいます。しかし、失敗を一覧表にまとめるだけでは、根本的な解決にはつながらないことがあります。大切なのは、「何を失敗したか」ではなく、「なぜ失敗したのか」を見つめることだからです。
例えば、地図を持たずに知らない街を歩き続ける人を想像してください。何度道を間違えても、「また間違えた」と記録するだけでは目的地には着きません。必要なのは、どこで方向を誤ったのかを確認し、人に道を尋ね、現在地を知ることです。仕事の失敗も同じです。失敗の回数を数えるより、「どこで理解が止まっていたのか」を知ることが重要なのです。
また、相談者は「自分の思いを簡潔に伝えることが苦手」と悩んでいます。しかし、頭の中だけで考え続けると、不安や焦りが絡まり、自分でも何が言いたいのか分からなくなることがあります。そんな時は、自分の気持ちや疑問を文章にしてみることです。何度も読み返し、「自分は何が分からないのか」を整理する作業が、理解への第一歩になります。
そしてもう一つ大切なのは、「人に頼ること」を恥だと思わないことです。分からないまま独りよがりに進めば、失敗は繰り返されます。教わった内容をメモし、「こう理解しましたが合っていますか」と確認する姿勢は、決して情けないことではありません。むしろ、成長の早い人ほど、恥を恐れず確認を重ねています。
例えば、料理初心者がレシピの意味を曖昧なまま進めると、塩と砂糖を間違えたり、「弱火」の加減が分からず焦がしたりします。しかし、その都度「なぜ失敗したのか」を確認し、人に聞きながら覚えていけば、少しずつ料理は上達します。仕事も同じで、「分からない自分」を認めることが、実は最も確実な成長の入り口なのです。
相談者は、自分を「要領が悪い」と責めています。しかし、本当に必要なのは、自分を否定することではなく、「自分は何が苦手で、どこで理解が止まりやすいのか」を知ることではないでしょうか。失敗をなくすことだけを目標にするより、自分自身を深く理解していくことこそ、長い人生において大切な使命なのだと思います。

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