医業経営コンサルタントの継続研修の中で、最も印象に残ったのが、
「介護を受ける人の気持ちを理解する」でした。
その、一つの手段として、
介護従事者自らが、下痢便になるよう前もって体調を崩し、
オムツをして、手足をベッドに拘束してもらい排便することでした。
オムツからはみ出た生暖かい便が、お尻の周りを這い、
パジャマと布団の温もりの中で、腰から背中にかけて生暖かさが浸潤し、
自ら排泄した便の悪臭に、自尊心も威厳も崩壊。
ただただ情けなく、惨めさに耐えるしかない体験談は衝撃的でした。
介護は、使命感だけでは無理・・・まさに、壮絶な世界だと思いました。
自宅においてどれだけバリアフリーや介護ベッドを整備しても、
来る日も来る日もそれでは、自分にはとうてい無理だと思いました。
幸い、要介護1の92歳義母は、
一人で食事ができ、
一人でトイレに行き、
一人で入浴もでき、
階段を毎日何回も上り下りできる、元気な健康老人です。
それでも。妻が義母に手を添えていても、チョットでもバランスを崩すと、
150センチにも満たない小柄な老人を1人で支えることは出来ません。
妻も一緒に倒れてしまいます。
義母が健康老人でいるには、何が出来るか悩みましたが、
身近に、一緒に、規則正しい生活を送ることが最善だと行きつきました。
しかしながら、妻は何をしていても義母が気になって仕方ありません。
「誤嚥性肺炎」を心配し、小さく切ったり、刻んだりして、
すすらないよう注意しますが、義母はすすることは止めません。
「感染症」を心配し、手を洗う習慣をつけようとしますが、
長年の習慣を改善することは困難です。
「熱中症」を心配し、飲み物をどれだけ摂取したか、
また、快適な室温になるようエアコンの温度管理をしますが、
寒さには敏感でも、暑さに鈍感な義母にはお節介なことのようです。
義母の何もかもが二言目に、「忘れた!」の一言で落胆する妻に、
結婚して45年間、「お義母さん、何も変わってないよ!」と言いますが、
妻は、親子の絆から義母との距離感を縮めていきます。
とくに、義母は衝動的に行動するため、気が気でなりません。
そのため、義母の一挙手一投足に意識がいき、口数が増えてしまいます。
一方、義母は注意されるとシャッターを下ろし、
聞く耳を持たなくなります。
義母は、92年間生き抜いてきた現実から、
今更ながら、習慣を変える気も、その必要性も感じていません。
親子どいえども、それぞれが違う経験と知識を得たことにおいて、
人と人が一緒に暮らすことは、より難しくなってしまい、
その違いを認めるには、努力と勇気が必要です。
血が繋がっていれば、なおさらのことですが、
それはそれ、これはこれと考え、行動することが何よりの解決策になるようです。
家族が家でできる本当に必要なサポートは、
ご飯を食べされることでも、
オムツを替えることでも、
入浴させることでも無く、
これまでの生き方を尊重し、是々非々で向き合うのが一番の
サポートかも知れないと思いました。
子供にとって親は、乗り超えなければならない最初のハードルであり、
同じ時代を切磋琢磨し生きる仲間の1人として捉えることが良いようです。
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