92歳の義母は、気分がいい早朝20m先の公園に杖を突いて、
一周100メートルの公園を一人で散歩します。
今の時期、梅雨どきの青や白、紫のアジサイが咲き誇っており、
初夏を告げる、季節感に浸っていたのかも知れませんが、
義母は、その季節感をそのまま、摘んで帰ってきてしまいました。
妻は、部屋に飾ってある一輪のアジサイを見て、
買ってきたものではないと思い、
「それ、どこで?」と、義母を問いただしました。
義母は、「公園で」と一言。
妻は驚き「えぇー?公園の花、摘んだらダメでしょう!」
「公園の花は、みんなのものだから摘んだらダメよー!」
義母は、以前にも道端の草花を摘んで、花瓶にさしていたことがあり、
「不衛生だし、花は花屋さんで買って!」と言ったことがあった。
妻が呆れながらも、注意してから3日後、義母はまた摘んできた。
1回目は、鮮やかな青々として大きな花だったものの、
2回目は、つぼみを摘んで帰ってきた。
妻は、「お母さん、ダメって言ったでしょう!」
「何で、取ってくんのー」
「取ってきたら、泥棒だよー」
「誰が見ているか分からないよー」
「近くの花屋さんで、いくらでも買えるんだから、もう止めてよ!」
義母は他愛の無いことと、思っていたかも知れませんが、
正義感の強い妻にとっては、大きな衝撃だったようです。
義母は、腹正しく思い、捨てに行こうとしましたが、
「折角、摘んだから」と言って、仏壇に供えることにしました。
妻は、「どうしたらいい?」と聞いてきました。
私は、
「捕まるまで、そのままにして置いたら良いんじゃない」
「無責任な言い方に聞こえるかも知れないけど、
超高齢者だけど、いっぱしの大人だしねぇー!😄」
「警察が来たら、正直に盗りました」って、
正直に認めれば、初犯で注意で済むだろうしね・・」
「ただし、窃盗罪は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」
ってことを、伝えた方が良いんじゃ無い!
「昔とは違って、せちがらくなってきたから、
「今どき、スマホで撮って警察に届けるからねー」
「わる気がなくても、捕まるよって、言った方がいいよ!」
いつも行く花屋さんは、公園より近いが反対方向にあり、
早朝に散歩するとき、当然ながら店はまだ開いていません。
妻は、「植木鉢買ってこようか?」と提案しましたが、
以前、バラの苗木を、義母に捨てられたことや、
仏壇に枯れた花があっても気にしない性格に、
鉢植えを買ってきても、同じ運命をたどると思い諦めました。
一方、義母の行いを全く理解できない訳では無いと思っていました。
花屋の花と、公園の花とでは生きるエネルギーが違っていました。
花屋の花は、人の愛情と技術によって生かされていますが、
公園の花は、自分の力でたくましく美しく生きています。
貝かぶりかも知れませんが、その逞しさと美しさに義母は共感し、
愛おしさのあまり衝動的に持ち帰ったのではないかと思いました。
公園の周りにはいくつもの草花が咲きますが、
アジサイに、美しく生きる姿を投影したのかも知れませんね😄。
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