定年退職した60代半ばの父親が、会社を退職してからダラダラした生活を送っていることに、30代の娘がどうしたらもっと健康的な生活を送ってくれるのか?という投稿がありました。
定年後に時間を持て余す父親を、心底心配する優しいいい子供を微笑ましく思います。長年仕事一筋で生きてきた男性にとって、退職を機に、自分の役割がなくなったことに、生きがいを見失いやすいものです。
家族から見ると「ダラダラしている」と映っても、内心は「自分の存在意義をどこに置けばいいのか」という虚しさと迷いがうごめいているように思います。従って、無理に活動を押しつけるよりも、「父親がかつて楽しんでいたこと」「得意だったこと」を一緒に振り返ることがから始めてみると良いでしょう。
昔よく行っていた店に「懐かしい場所に行ってみよう」と誘う、若い頃好きだった音楽を一緒に聴く、父親の子供の頃の話を聞くのもいいでしょう。子供のころも夢を思い出すきっかけになるかも知れません。そのわずかな記憶が、再び小さな活力を呼び起こし行動に繋がる可能性があります。
また、行動の「目的」を明確にすることも大切です。「健康のため」よりも、「お母さんを安心させたい」「孫と旅行に行きたい」「昔の仲間に会いたい」など、本人の心に響く理由を見つけてあげましょう。
さらに、「一人では動かない」タイプの人には、共に行動する仲間の存在が大きな力になります。地域のシニアクラブやボランティア活動、ラジオ体操仲間など、“誰かに待たれている”状況ができると行動意欲が高まります。
最初は娘さんが一緒に参加し、場の雰囲気を伝えてあげるのも良いでしょう。そして何より、娘さん自身が「お父さんに元気でいてほしい」と優しく語りかけること。命令や説得ではなく、「一緒に過ごしたい」「まだまだ一緒に笑いたい」という気持ちを言葉にして伝えることが、何よりの励みになります。
人は誰しも「自分を必要としてくれる人」がいるとき、もう一度立ち上がる力を持てます。娘さんの温かな思いが、お父さまの次の一歩を生むきっかけになるはずです。焦らず、ゆっくり、寄り添いながら、日常の小さな変化を喜び合ってください。
[人生案内]定年後自宅で動かない父 2025年9月より

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