68歳の妻と義母92歳が横に並び、私67歳は真向いに座って食事をする。
妻は、「すすらないで!呑み込んでー」と義母に言うが、
「ズルズル音」は止まらない。
妻は、「器官につまるからー」と言ってもすすることを止めない。
妻は、すすることを止めない義母のため、
うどんや麺類など長い食べ物をハサミで切って盛り付けている。
義母にとっては、短くなっても、切り刻まれても、
汁気の多い食べ物は、ここぞとばかりにすすり続ける。
むしろ、短くすることで、口に含む量が増えてしまい、
かき込みやすくなり、「ズルズル音」のレベルは上がってしまう。
義母の「すする」は、今に始まったことでは無いと思うが定かでは無い。
子供のころからの習慣だとすれば、変えることは無理だ。
たとえ、本人が自覚したとしても、一生涯の仕事だ。
なぜか、最近気になってきた、
ズルズルを、止めなければならない理由は、
気管支に入ったときの「誤嚥性肺炎」を心配してのことだった。
コロナ禍での健康の心配が、義母の習慣に繋がった。
「すする」ことをしないよう、自分に言い聞かせている。
唯一「そば」を食べるときだけ「今からすするぞ!」と気合を入れる。
だから、普段はその指令が面倒なので「すする」ことはしない。
一方で妻は、私に「不快な思いをさせたくない」と思っている。
その結果、義母に「すすらないで、呑み込んでー」となってしまう。
正直なところ「ズルズル音」は耳障りだ。
しかしながら、反面「うらやましい!」と思う自分もいる。
「時間や社会にとらわれず、空腹を満たすため、自分勝手に
誰にも邪魔されず、気を使わず、食べることが、最高の癒し」と言う、
井之頭五郎と義母のマインドが近いことにうらやましく思うこともある。
だから、「音を立てて味わうことを邪魔してはいけない」とも思ってしまう。
妻がどれだけ気を病んでも諦めるしか無いと思った。
義母は、「すすっている途中で、一度もむせたことが無い!からだった。
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターによると、
「口の中では、食べ物がどこにあるのかは分かるが、
のどの奥では、どこにあるのかは分からない」という。
しかしながら、のどの奥に呼吸を妨げる食べ物がある場合は、
その危険を敏感に検知し「むせ」という生体反応を起こすようだ。
義母がむせないのは、食べることに集中できている証でもあり、
危険を察知する能力が高いようだ。
物を食べた時にむせる原因は?を見て勝手にイメージしました😁
因みに、「誤嚥性肺炎」は男性の方が女性より7:3で多いそうだ。
女性の方が男性より社交的でよく話すことが、のどの筋肉を鍛え、
結果として、誤嚥がしにくくなると言われているそうだが、
義母は、ひとりで部屋に閉じこもることが多く、会話は少ないタイプだ。
だから、例外もあるようだが、危険回避能力は健康寿命には必須の条件かも知れない。
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