『グリーンブック』は、1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ピアニストのドクター・シャーリーと白人運転手トニー・リップの実話を基にした映画です。この作品は、人種差別や社会の偏見を超えて築かれた友情を描いています。
映画の背景には、1936年にビクター・ヒューゴ・グリーンが発刊した『グリーンブック:Green Book』があります。このガイドブックは、黒人が安全に旅行するための情報を提供したものでしたが、ホテルの入り口には「Colored only」と表示され、当時の人種差別の現実を反映していました。
私がこの映画を見て思い出したのは、20数年前外国籍の学生との面接です。彼は何十社も面接を受けるも断られ続けていました。最後の希望として私たちの会社に面接に来ました。彼の必死な眼差しと面談への感謝の言葉に、彼のやる気を評価して採用を決めました。
彼は「日本で外国人が認められるのは医者、弁護士、学者だけ」と話しながら、家族の期待に応えられないと悩んでいました。しかし、私たちの会社での仕事を通じて、自分の居場所を見つけ、感謝してくれました。
映画の中で、トニーがドクター・シャーリーに拾った翡翠(ヒスイ)の石を返すように言われるシーンがあります。このシーンは、日本の「だるま市」や大阪の住吉大社の「五大力の石探し」の伝統を思い出させました。どちらも物を拾う行為が幸運や繁栄を象徴しているようです。
『グリーンブック』の教訓は、品位を保つことの重要性です。ドクター・シャーリーは、いかなる差別や不公平な扱いを受けても、決して取り乱さず、品位を保ち続けました。
彼は「暴力は負けだ。品位を保つことが勝利をもたらすのだ」と言いこの信念を貫きましたが、一方現代社会においても、自分自身が、差別やいじめを無意識に行っていないか、立ち止まって考える必要があるかも知れません。
人はみな、あらゆる環境に毅然と立ち向かう強い心が必要ですが、時には立ち止まって、自分の言動や行いを、振り返る心と時間を忘れてはいけないようです。この映画は、単なる1960年代のアメリカ南部の物語ではなく、現代の私たちにも多くの教訓を提供しています。
多様性と共存の重要性を再認識させ、固定観念に縛られることなく生きることの大切さを教えてくれます。映画『グリーンブック』は、感動的で深いメッセージを持つ作品であり、私たちに共感と希望をもたらします。 現代社会においても、固定観念に縛られず、多様性と共存を推進することが必要です。品位を保ち、共感と理解を持って生きる人こそが真の勝利となります。
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