二十年ほど前、私はタバコを止めました。当時、健康産業の会社で禁煙ムードが高まっており、私もその波に乗ることにしました。禁煙補助剤が流行り、パッチやガムが登場していましたが、実際には禁煙はそう簡単ではありませんでした。それでも、周囲で禁煙の話題が盛り上がり、私は禁煙への意志を固めました。
当時、私は毎日3km歩いて仕事に向かう健康的な生活を送っていましたが、人事異動で営業責任者となり、ストレスの中でヘビースモーカーに戻ってしまいました。事務員さんの視線が気になり始めた頃、自分がタバコに依存している姿に気付き、自己嫌悪に陥りました。タバコを吸うことで現実から逃れようとしている自分が嫌になり、禁煙を決意しました。
禁煙を決意するには動機が必要でした。私は、自分がタバコを吸っている光景を思い返し、それがどれだけ不快で不健全なものであるかを再認識しました。会議後の灰皿を囲む光景、電話で嫌な人と話すたびにタバコに逃げる光景、そしてタバコを吸うことで現実の問題から逃れようとする自分自身に嫌気がさしました。
禁煙の動機として、タバコの癒しや幸福感よりも、動悸やめまい、息苦しさから解放されたいという思いが強くなりました。健康的な生活を送り、心身共に健全な状態でいることが、自分にとって重要だと感じました。
禁煙の理由は主に三つです。一つ目は、現実の問題から逃れるためにタバコを吸う自分が嫌になったこと。二つ目は、タバコを吸うことで仲間意識を形成する貧相な自分が嫌になったこと。三つ目は、健康的に生き、ポックリ逝くためには不健康な生活をしないことが大切だと考えたからです。
禁煙は大変な挑戦でしたが、逃げることが嫌になった自分が下した一つの結論でした。逃げると危険は倍になり、近寄るとその危険は半減すると言われます。禁煙以降、様々な人生の場面でその教訓を生かしてきました。禁煙は大変なことですが、自分の殻を破り羽ばたく契機になる禁煙は、あなたにとって素晴らしい決意だと思います。明るく素晴らしい人生になりますよう心からお祈りします。
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