長男が購入したマンションの返済が滞り、やむなく母親が借金を肩代わりしたという相談を見ました。長男は生活の立て直しのため、妻に働いてほしいと訴えるものの、妻は「私が悪いのでしょう」と反発。改善策が見えない状況に、母親は本来干渉してはいけないと理解しつつも、長男夫婦に対する不安といら立ちを抑えきれないようです。
しかし、まず確認すべきは「返済が滞った本当の理由」を長男夫婦自身がどこまで理解しているかです。長男の収入減なのか、夫婦の浪費なのか、そもそもの返済計画が無理な設定だったのか──理由が曖昧なままでは、誰が援助しても根本的な改善にはつながりません。借金の原因は長男夫婦の双方にあり、その自覚こそが生活を立て直す第一歩になります。
次に重要なのは、母親ではなく「長男本人が今後の資金繰りをどう考えているか」を確認することです。いったん親が肩代わりしたとしても、生活を築くのは夫婦自身です。現在の資産と負債、今後の収入見通し、そして完済までの計画を長男がどこまで把握しているのか、冷静に話し合う必要があります。
親として長男夫婦の生活に踏み込み過ぎないことは原則ですが、完全に黙っていることも得策ではありません。三人で穏やかに話し合い、親として“今後は追加の援助はできない”ことを明確に伝えるべきです。場合によってはマンションの売却も選択肢になります。親が主導して問題を片づけても、その場しのぎにしかならず、長男夫婦の自立を逆に遅らせてしまいます。
また、母親が長男の妻ばかりを責めてしまう背景には「私が払ったのだから」という思いが強く働いているように見えます。しかし、夫婦の問題は夫婦で向き合うべきものであり、母親が一方的に評価してしまうと、長期的な家族関係にも禍根を残しかねません。まずは夫であるご主人の意見を聞き、独断で動かないことが大切です。
今こそ長男が自立へ踏み出す大切な機会です。親が手を出しすぎず、しかし必要な会話は避けず、冷静に現状を確認することで、長男夫婦が自らの力で生活を立て直す力を育てていくことが求められています。
読売新聞[人生案内]「長男の妻 自己中心で働かず」から・・

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