退職後、妻と全国の温泉地を巡り、隣接するゴルフ場でプレイすることを夢見ていました。そのため、妻のトレーニングを兼ね、宮城、岩手、秋田の三県にまたがる栗駒山の秘湯めぐりを皮切りに、秋田駒ケ岳、福島県の雄国沼、岩手県の八幡平、青森県の岩木山、宮城県の蔵王へと高山植物を見るトレッキングに連れ出し筋力アップを図りました。
トレッキングを始める前、普段の生活において、履くだけで筋力アップと体幹強化をできる魔法のシューズに出会いました。弓のように反った不安定な靴底のシューズは、直進性が高く身体の姿勢を制御しながら、下半身強化を目的としたものでした。真っ直ぐ立っているだけで、足の筋力を鍛えました。歩き出すと背中を押されているかのように、前へ前へと足が勝手に運ばれました。
当初、ふくらはぎに筋肉痛がありましたが、地面を蹴って歩く力強さやスピードが普通のスニーカーと格段の違いがありました。次第に足の筋力アップを実感し何足も買い求めました。生涯手放すことがないと思った3年目に、突然脱ぎ捨てる事件が起きました。変形性膝関節症を発症しました。何人もの医師の診断で、魔法のシューズが原因だと分かりました。MBTシューズは夫婦にとって、日常生活の中において最高のツールでしたが、長時間の使用と妻の体力と筋力を超えたことで、ひざに過大な負担をかけました。標高2450mの源泉かけ流し、加水加温なしの天上の秘湯「みくりが池温泉」を最後に、安静療養を指示されました。
その後、「ドクターマット」を購入し、台所仕事での負担を軽減することができましたが、再び膝痛が悪化し、診断の結果、高位脛骨骨切り術を勧められました。この手術は膝の内側にかかる荷重を分散させるもので、適切な時期に行えば日常生活を取り戻せると言われました。
人工膝関節置換術も選択肢にありましたが、スポーツや正座が制限されることから、早い段階での選択は見送りました。 私たちは妻の膝痛治療のため、ハリ治療をはじめ様々なリハビリを試みましたが、筋力トレーニングやパーソナルトレーナーの指導も功を奏することはありませんでした。
最終的に、変形性膝関節症の根本治療を模索し、iPS細胞を用いた再生医療も視野に入れましたが、成功率を担保できる材料がありませんでした。妻の膝痛は、健康な老後を過ごすための重要な課題となりました。スクワットやプランクなど自宅でできるトレーニングを毎日一緒に続けています。膝の痛みをなくし、いつまでも歩けるようにするには、日々の地味なトレーニングを一緒に行うことで、新たな夢の実現にチャレンジしています。
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