トイレでは「排尿失神」や「意識喪失」で転倒する危険性がある。
トイレでの事故には、おしっこをしたとき、膀胱にたまった尿が緊張状態から一気に解放され、筋弛緩を起こしその結果血圧を低下させ「排尿失神」を起こし、突然に倒れてしまうことがあります。
さらに、排尿で腹圧が下がり脳と臓器を結ぶ迷走神経の反射から意識を失うこともあるようです。
また、大便をしたとき、いきみに伴い血圧の変動が引き金になって事故が発生することもあります。10月から5月、朝方の6時から7時にかけて事故のリスクが高くなるようです。
トイレの事故は入浴による事故より発生件数が多い。
1日のうちでトイレを利用する頻度は入浴回数よりも多いため、利用回数でみた場合、トイレ事故が入浴事故より発生しやすいかどうかはわかりませんが、トイレでのトラブルが意外に多いことがわかりました。
トイレの事故で最も多いのは、子供の場合などはドアを開けたとき、
❶足の指の爪をはがす。
❷手の指をはさむ。
大人の場合はトイレ掃除をしているとき、
❸床を拭いて立ち上がった時に手すりや手洗い、収納ボックスに頭や顔をぶつける。
❹耐荷重のないペーパーホルダーに思わず寄りかかり転倒する。
❺古くなった手すりがはずれて転倒する。
❻便座と便器の間に指を挟む。
❼水を流そうと体をレバーにねじってたとき腰を悪くする。
❽トイレの床マットに足を取られ転倒する。
❾便座から立ち上がるときバランスを崩し転倒。
写真のように、アームレストと前手すりが転倒防止に繋がるようです!
突然死の5%がトイレで脳卒中と心筋梗塞。
入浴中の事故死は年間約2万人前後ですが、寒暖差が原因による突然死が最も多いようです。
また、突然死全体の約5%は、高齢者のトイレでの脳卒中や心筋梗塞が原因ですが、心疾患による突然死の約8%がトイレの中で排便中に起こっていると言われています。
思わぬ非常事態がトイレで起きています。
動脈硬化が温度変化に対応できず事故を招く。
事故の最大の原因は温度差ですが、暖かい部屋から寒い脱衣所やトイレに行くことで血管の収縮で急に血圧が上昇し、心筋梗塞や脳溢血、くも膜下出血を誘引します。
若い人のように血管が柔らかいので血圧が上がっても問題はありませんが、高齢者は動脈硬化が進み、血管がもろく硬くなっているので、血管が破れ病気を引き起こす可能性があります。
家の中で起きる事故の発生場所とその対策。
事故が起きる場所は、9割以上がふだんいる部屋(居室)で発生しています。次に、廊下・通路、階段、トイレ、浴室の順で事故が発生しています。
事故の未然防止は、家の中全体を暖かくすると同時に、
❶移動する場所全てに手すりをつける。
❷移動する場所は、フラットにして段差をつけない。
❸玄関、浴室、洗面所、トイレでは布地のマットを敷かない。
❹照明や換気扇は人感センサー対応型にする。
❺脱衣場と浴室のドアは安否確認がすぐできる透明なドアにする。
❻窓ガラスは複層ガラスにする。
❼浴室は居間や台所とでリモコンで会話ができる。
❽浴室やトイレに限らず、家全体を滑らない床材にする。
❾トイレ洗浄はレバー式でなく、身体をねじらないボタン式や自動洗浄にする。
❿便器にアームレストを装着する。
事故と病気による転倒を予防する対策。
事故の予防には、廊下を暖める、トイレの室内を暖める、座って排尿する、冷たい便座に座らない、明るく清潔、匂いがこもらない、トイレドアを内開きにしないなどの対策も必要ですが、アームレスト付きの便器が転倒防止に最も効果的だと結論付けました。
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