家庭の浴槽で溺死する人が増えている。
厚生労働省の人口動態統計によると、家庭の浴槽での溺死者数は、平成28年は5,138人で増加を続けており、平成18年の3,370人と比べると10年間で約1.5倍増加しています。
平成28年に溺死した人は、65歳から79歳の高齢者が1,950人、80歳以上で2,806人であり、65歳以上の4,756人が、溺死全体の9割を占めています。
世界60カ国で溺死した人は日本が最も多い。
国際的な比較において、「溺れと窒息が、日本は世界中で最も多い」との報告があります。
「溺れ」に関する2015年世界保健機関(WHO)は、世界60カ国の溺れ死亡率の比較において、65歳以上の高齢者群では、日本は60カ国中最も高く、その人数は人口10万人当たり19人で、上位57位までの人数が10人未満に対し、日本が著しく多いことを報告しています。
また、この60カ国において、日本は浴槽内で溺れる人が高齢者に多く、特に75歳以上の溺死者は日本が最も高く、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ、アメリカの10倍以上との報告もあります。
日本セーフティープロモーション学会誌 Vol.10(2)2017より引用
浴槽では高齢者に限らず、誰にでも溺死の危険性があります。
日本人にとって、湯船に浸かって1日の疲れを癒すことは毎日に習慣です。
湯船に浸かり日々の疲れをリセットし、リフレッシュできる習慣は、日本人特有の癒し対策ですが、深酒をしての入浴、長時間の入浴、体調不良の無理な入浴など、長くお湯に浸かったあと浴槽から立ちあがろうと思ったとき、めまいで態勢を崩したり、また、最悪の場合完全に意識を失って転倒してしまう危険もあります。
浴槽内での事故は、高齢者ばかりでなく、年代性別を問わず誰にでも起こり得ます。
今、誰が風呂に入っているのか? 何分入っているのか?
家族が互いに意識することが、万が一の時の素早い救出活動に繋がるようです。
事前に出費する方が安上がりでリターンが大きい!
高齢者が転倒する場所は、外を歩いるときに起きるより、家の中の何気ない動き中で起きています。
転倒の原因となる状況は各家庭で違いますが、先ずは床にモノを置かない!ことが最善策です。日々の整理整頓が最悪の事態を回避する低コストで効果的な方法です。
転倒が原因で骨折し寝たきりになると、人の助けを得て生活するなど、経済的にも精神的にも莫大な負担に見舞われかねません。
家の中での転倒防止に、万全な対策をしつつも、限られた予算の中で、最大限の効果を発揮する安全対策は、日々の整理整頓と清掃に尽きるように思います。
安全対策における支出は、将来の自分と家族への必要な投資と思い、事故が起きてから対策するよりも、起きる前に対策する方が安い費用で投資効果が高いと考えます。
浴室と洗面室のリフォームで良かったこと!
➀洗面室と浴室の間仕切りを全面ガラスにしたことで明るく開放的になった。
②浴室の床に足を踏み入れたときのヒヤッと感が無くなった。
③浴室の床で滑る不安感が無くなった。
④外の窓ガラスの断熱性が上がり冷気が無くなった。
⑤浴室排水口の掃除がしやすく清潔感が高まった。
⑥浴槽中のベンチが上げ底になり節水効果があった。
⑦浴槽が浅くなり、またいだ時の身体の不安定が無くなった。
⑧天井からポタリと水滴が落ちてこなくなった。
⑨洗面室の収納棚に非常用水ポリタンクや非常用トイレを常備できた。
⑩洗面室、浴室ともに喚起が良くなり湿気とカビの発生が無くなった。
浴室と洗面室のリフォームの目的は、洗面室と浴室の間仕切りドアをガラス窓にすることでした。
浴室と洗面室の断熱効果をあげることや、滑らない床材の使用、カビが発生しにくい浴室など、事故防止や安全対策以上に、快適性を求めたリフォームが一般的ですが、「浴室で倒れている」場合の、一刻も早い対応を想定した、一目で状況を確認できるガラスドアにすることも、躊躇なく救出する体制を整えることであり、本来のリフォームの目的の一つであってもいいと思いました。
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