目次
●土地、建物のスムストック査定を実施
2017年(平成29年4月)
築27年のわが家の土地、建物を宅地建物取引業法第34条の2第2項に基づき、不動産のスムストックとしての査定を実施しました。査定は旧小堀住建株式会社、現在の株式会社ヤマダ・エスバイエルホームで行いました。リフォーム工事をエス・バイ・エル一社で行ってきたことから住宅履歴情報が蓄積されていると思い、担当者に電話1本の依頼で数日後10枚程度の査定報告書が送られてきました。
*宅地建物取引業法第34条の2第2項:宅地建物取引業者は、宅地建物の売買する価額又は評価額はその根拠を明らかにしなければならない。
●スムストックとは
❶旭化成ホームズ株式会社❷住友林業株式会社❸積水化学工業株式会社❹積水ハウス株式会社❺大和ハウス工業株式会社❻トヨタホーム株式会社❼パナホーム株式会社❽ミサワホーム株式会社❾三井ホーム株式会社❿株式会社ヤマダ・エスバイエルホームの住宅メーカー10社が運営する組織をいい、優良ストック住宅推進協議会のことで通称「SumStock スムストック」と呼んでいます。
●スムストックの目的は
「住生活基本法」により、住宅の大量生産・大量消費のフロー型社会から、いいものを長く大切に使うストック型社会への変換を目指し、優良なストック住宅の普及を図るため、独自の査定方式「スムストック査定」を用い安全安心な居住環境の良質ストック住宅を供給するものです。
*ストック型社会とは、住宅、橋・道路など社会的資産が長く蓄積(ストック)され、何回も作り直す無駄を省くことで、経済的なゆとりを生み、自然環境にもやさしい社会のことをいいます。大量生産・大量消費のフロー型社会は反意語になります。
●スムストックの査定とは
(1)構造耐力上必要な部分(スケルトン)と内装・設備の部分(インフィル)に分けて査定します。
(2)構造躯体のスケルトン部分を6割とし償却期間を50年で査定します。
(3)内装設備のインフィル部分を4割として償却期間を15年で査定します。
上記3点により算出された物件価格を、リフォームや点検・補修を行った住宅履歴情報に基づき価格を調整(加減)します。査定者は、優良ストック住宅推進協議会の定める研修カリキュラムの修了者、または、これに準じる知識、経験を有する者が建物価格の査定を行います。
●わが家の構造と住居環境
住居状況:木質パネル工法、延床面積94.7㎡2階建
住居環境:市街化区域、第二種住居地域、建蔽率60%・容積率200%、準防火地域。
●スムストック査定の計算式
査定額≒[{(A1×B1+増1)×F1}+{(A2×B2+増2)×F2}+G]×C×D×E×H1×H2×H3×I-J
A=再調達価格(A1・A2)査定対象の住宅を現在再建築した場合の価格(取得費×倍数率)
A1=スケルトン(構造耐力上主要な部分=構造躯体)は取得費の60%
A2=インフィル(内装と設備の部分)は取得費の40%
B=現価率(B1・B2)流通耐用年数にみる現在価値※。
B1:スケルトンは50年
B2:インフィルは15年
※流通耐用年数とは流通市場において住宅として価値が存在する年数。
C=機能調整率:①収納②通風③採光④機能性に関しての評価を反映した補正率
D=可変補正率:間取りの可変性を評価して反映させる補正率
E=外構補正率:建物だけではなく外構を含めた外部空間を評価。
F=観察補正率(F1・F2):内装・設備などの維持管理の状態などを購入者の視点で評価。
F1=スケルトン
F2=インフィル
G=リフォーム・性能向上工事加算、リフォーム工事=インフィルに関する工事で、資産価値向上につながる工事。メンテナンス工事以外で15年以内に行われた工事。性能向上工事=外装、屋根を対象とした15年以上の償却期間を持ち、従前より価値が向上する工事。
H1=建物市場性比率① 売却時の社会的ニ-ズ、地域的なニーズなどを勘案し評価
H2=建物市場性比率② 住宅履歴書の有無を評価する補正率
H3=建物市場性比率③ :認定住宅 認定住宅であるか否かによって、市場への訴求力を評価
I=建築年数調整率、築5年以内の売却物件に対する一般的な取引事情などによる特別補正率。
J=メンテナンス調整額、外壁塗装、屋根・ベランダの防水及び、防蟻対策の耐用年数を考慮し、償却額を差し引くための調整額。
増=増築再調達価格:(増1・増2)
査定対象の住宅を増築したケースで、現在再増築した場合の価格。(増築費×倍数率)
増1=増築スケルトン部分 増2=増築インフィル部分
●わが家のスムストック査定の計算
査定開始段階で現状の建物を再構築した場合の予想価格「再調達価格」が先ず算出されます。新築当時の請負契約金額や取得費から、古屋解体費用、インフラ整備費用等の付帯工事費を控除した金額に建築費倍率を乗じて求められます。予め定められた基本単価を元に再調達価格を算出する場合もあります。
A;再調達価格14,100,000円
(手元計算:建物本体15,400.000円×建築費倍率0.95=14,630,000円?現在確認中)
A1;スケルトン価格14,100,000円×60%=8,460,000円
A2;インフィル価格14,100,000円×40%=5,640,000円
B1:スケルトン50年に対して経過年数は27年で現価率0.514
8,460,000円×0.514=4,348,440円
B2:インフィル15年に対して経過年数は27年で現価率0.100
5,640,000円×0.100=564,000円
C;機能調整率は、0.85
D;可変補正率は、1.00
E;外構補正率は、1.00
F1;スケルトンの観察補正率は、1.02
F2;インフィルの観察補正率は、1.15
G;リフォーム・性能向上工事加算は、5,110,000円
H1;建物市場性比率は、1.02
I;建築年数調整率は、1.00
J;メンテナンス調整額は、0円
●わが家のスムストック査定の金額
スケルトン価格4,348,440×スケルトン観察補正率1.02+インフィル価格564,000円×インフィル観察補正率1.15+リフォーム性能向上工事加算5,110,000円×機能調整率0.85×可動補正率1.00×外構補正率1.00×建物市場性比率1.02×建物年数調整率1.00-メンテナンス調整額0円≒8,840,000円。
築27年のわが家は8,840,000円でした。
木造住宅は25年で資産価値がゼロになり30年で建て替えが必要との印象がありました。その為、住宅は「資産」ではなく「耐久消費財」であると言われていました。国土交通省の指針参考資料1から税法に基づく財務省令上の耐用年数では20~25年の経済的耐用年数が設定されていました。リフォームを行ってもリフォームによる物件価値の向上を客観的に評価する基準・手法が確立されていないため、リフォームが市場価格に反映されない状況が一般的でした。新築でも耐用年数が22年と設定され、リフォームをしても価値が認められない現実が長く続きました。一方、国土交通省の指針参考資料5には、木造家屋の平均寿命は1997年調査で43.53年、2006年調査で54年、2011年調査で65.03年と発表されています。わが家の1990年(平成2年)建物の耐用年数も50年となっていました。
●住生活基本法とは
住宅政策の指針となる基本法として平成18年6月8日に施行されました。
新しい建物を作っては壊す時代から、人口・世帯数の減少に対応できる政策転換の必要から生まれた法律です。基本法という性質上、国民の権利や義務を規定するものではありませんが、基本理念実現のために「住生活基本計画」を策定し国や地方自治体に義務付けるもので、今後、住宅の安全性や品質・住環境の向上に向けてさまざまな施策を実行するその他の法律を誘導する役割を果たすことになります。
建物の平均寿命は、英国75年、米国44年に対し、日本は30年と言われています。
今まで中古住宅の資産価値を評価する統一基準がなく、建物のメンテナンスの状況など正確に把握することが出来ず買い手のリスクを回避できず中古住宅の流通が拡大しませんでした。「住生活基本法」において法整備をすることで、国が住宅の長寿化と中古市場の活性化を促進するものです。
●住生活基本法の理念とは
❶国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給
❷住民が誇りと愛着をもてる良好な住環境の形成
❸居住のために住宅を購入する者等の利益の擁護及び増進
❹低額所得者、被災者、高齢者、子どもを育成する家庭等の居住の安定の確保
●住生活基本的計画とは
計画期間:平成28年度~平成37年度
目標1 結婚・出産を希望する若年世帯・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現
目標2 高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現
目標3 住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保
目標4 住宅すごろくを超える新たな住宅循環システムの構築
(基本的な施策)
- 既存住宅が資産となる「新たな住宅循環システム」の構築。
そのための施策を総合的に実施
- 建物状況調査(インスペクション)、住宅瑕疵保険等を活用した品質確保
- 建物状況調査における人材育成や非破壊検査技術の活用等による
- 住宅性能表示、住宅履歴情報等を活用した消費者への情報提供の充実
- 内装・外装のリフォームやデザイン等消費者が住みたい買いたいと思う既存住宅の魅力の向上
⑤既存住宅の価値向上を反映した評価方法の普及・定着
(2)耐震、断熱・省エネルギー、耐久性能等に優れた長期優良住宅等の資産として承継できる良質で安全な新築住宅の供給
(3)資産としての住宅を担保とした資金調達を行える住宅金融市場の整備・育成
(成果指標)
・既存住宅流通の市場規模 4兆円(平成25)→8兆円(平成37)
・既存住宅流通量に占める既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅の割合5%(平成26)→20%(平成37)
・新築住宅における認定長期優良住宅の割合11.3%(平成26)→20%(平成37)
目標5 建替えやリフォームによる安全で質の高い住宅ストックへの更新
目標6 急増する空き家の活用・除却の推進
目標7 強い経済の実現に貢献する住生活産業の成長
目標8 住宅地の魅力の維持・向上
●国土交通省の指針参考資料1から引用
●国土交通省の指針参考資料5から引用
●住宅履歴情報とは何か
住宅の設計、施工、維持管理、権利及び資産等に関する情報を蓄積したものです。平成19年度より「住宅履歴情報整備検討委員会」という国土交通省住宅局住宅生産課において検討を始めたもので、国が住宅データベースを整備し、各種情報を住宅履歴情報の下に一元管理するものです。日本の住宅は新築から約30年で取り壊し使える住宅でも建て替えています。
今後は、いいものをつくって、きちんと手入れし、長く大切に使っていくストック型社会への転換を目指しています。また、築年数だけで不動産価値を決めるのではなく、設計図面やリフォーム図面、ホームインスペクション(住宅診断)などを参考にして適正に物件評価を行っていきます。住宅所有者にとっては、いつ、どこの施工業者に、どのような設計で新築や修繕、改修・リフォーム等を行ったかを記録した住宅情報の「履歴書」が活用されていきます。
受託履歴情報を蓄積・活用するには2つの方法があります。
❶住宅の所有者が自分で管理する方法
❷情報サービス機関に保管を依頼する方法
これまでは個人で住宅履歴情報を保管していましたが、これからは「情報サービス機関」という仕組みを利用することが出来ます。
情報サービス機関は、住宅所有者が行う住宅履歴情報の蓄積・活用をサポートする機関です。
●住宅履歴情報の活用目的とは何か
➀竣工時の仕様情報やメンテナンス情報から今後の住宅の維持管理が計画的効率的にできる。
②住宅履歴情報を元に修繕,改修・リフォームの予算や工期が合理的に算出できる。
③住宅履歴情報がある住宅は、売買するとき住宅の資産価値が適切に評価される。
住宅の見えないところについても買主が安心して購入できる。
④たとえ災害にあっても住宅履歴情報に基づき迅速かつ適切な復旧や補修ができる。また、設備機器等の不具合などによる交換が円滑にできる。
●住宅履歴情報の詳細
➀住宅の構造や形態の制約が無く、どんな住宅でも情報を蓄積できる。
②住宅履歴情報の蓄積サービスは現在準備中。但し、住宅所有者は既にある設計図面や仕様書、リフォーム履歴等を保管することで今すぐにでも住宅履歴情報を蓄積できる。
③新築住宅の住宅履歴情報とは、
- 建築確認:新築竣工までに建築確認や完了検査などの書類や図面。
- 住宅性能評価:住宅性能評価書及び住宅性能評価を受けるために作成された書類や図面。
- 新築工事関係:住宅が竣工した時点の建物の状況が記録された各種図面や書類で竣工までの様々な変更が反映されたもの。
維持管理段階の情報とは、
- 維持管理計画:住宅の計画的な維持管理に役立つ点検や修繕の時期及び内容の目安となる情報が記載された書類や図面
- 点検・診断:住宅の点検や調査・診断などを行った時に作成・提供される書類、図面、写真等
- 修繕:住宅の修繕工事を行った時に作成・提供される書類、図面、写真等
- 改修・リフォーム:住宅の改修・リフォームを行った時に作成される書類、図面、写真等
「住宅履歴情報の蓄積・活用の指針」を参考にしてください。
④長期優良住宅の認定を受けた場合は、平成21年6月4日施行「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」により建築及び維持保全の状況に関する記録の保存が義務づけられている。
住宅所有者が、住宅履歴情報を自宅に保存又は情報サービス機関の活用も可能です。
⑤住宅履歴情報の蓄積は紙でもデータでもかまいません。
⑥住宅履歴情報のデータは、その情報があるだけで住宅価格が高くなるわけではなく、メンテナンスやリフォーム等も付加価値として正当に評価するものです。
⑦住宅履歴情報に含まれる個人情報は、住宅所有者と情報サービス機関との間において開示できる情報について予め定めることとなっており、本人の許可なく開示することはありません。
⑧中古住宅購入の場合、図面等が無くても今後の点検リフォームの図面等が蓄積できる。
⑨住宅履歴情報積は、リフォーム等を行う際プラン作成等合理的な予算と工期が期待できる。
⑩個人で住宅履歴情報を蓄積できない場合、情報サービス機関に依頼することができる。
⑪すぐに住宅履歴情報の蓄積を依頼したい場合、当委員会の住宅履歴情報の蓄積・活用の指針に則り、取り組みを始めている情報サービス機関はあるので事務局にお問い合せ下さい。
■事務局連絡先
住宅履歴情報整備検討委員会事務局 *愛称として(いえかるて)といいます。
〒102-0071 東京都千代田区富士見2丁目14-36 FUJIMI WEST
(財)ベターリビング内 住宅履歴情報整備検討委員会事務局 TEL:03-5211-0566
⑫リフォームのとき蓄積する情報は、現況図面、劣化状況の調査報告、現況写真、リフォーム計画の設計図面、見積書等が該当。詳しくは「住宅履歴情報項目」をご覧ください。
住宅履歴情報の蓄積を開始するには、リフォーム事業者の方に住宅履歴情報をきちんと蓄積したいということを伝え設計図面等を確実に受け取ることから始めます。
●建築費倍率とは
表にある建築費倍率指数に基づいて現在の建築費の上昇率及び下落率を表したものです。
わが家の再調達価格の算出に以下の指数を用いたかどうかは現在問合せ中(2017年4月30日)
下記表はhttp://www.matsutaka.info/kasai-hoken/より引用しました。
●マイホーム維持管理ガイドラインとは
具体的な点検個所や時期、交換時期の目安については、住宅金融支援機構のサイトにある【住まいの保守管理】→【入居後の住まいの保守管理】→「マイホーム維持管理ガイドライン」が参考になります。
●リバースモーゲージローン
リバースモーゲージローンについて2017年4月現在の利用条件と担保条件を調査。
(1)利用条件
- 契約時の年齢が満60歳以上であること。
- 自宅に単身又は夫婦二人住まいであること。(同居配偶者は連帯債務者となる)
- 安定かつ継続した一定の収入が見込めること。
(2)担保条件
- 自宅評価額は6,000万円以上が対象。
評価方法は銀行内部の査定により行い、2017年4月時点でスムストック査定や住宅履歴情報を運用する考えは無かった。
- 借地、保留地、仮換地など、物件によってはお申し込み出来ない。
- 担保物件は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の一戸建住宅。(但し銀行によって対象エリアが違う)
- 担保不動産の全部または一部を第三者(親族を含む)に賃貸することは出来ない。
- 自宅の土地および建物に当行を根抵当権者とする根抵当権を設定。設定金額(根抵当権極度額)は融資極度額の120%以上とする。
- 自宅所有者は、借入本人の単独所有もしくは「同居の配偶者(連帯債務者)のみとの共有」に限る。
- 担保不動産に連帯債務者である配偶者以外の第三者(親族を含む)が使用貸借で居住する場合、または実質的に居住していると当行が判断した場合には、速やかに届出を行う。届出内容が、銀行が債権保全の観点で支障が生じると判断した場合は、銀行の請求により新規の貸出は中止し、もしくは融資極度額、利用可能額を減額し、または契約を解約することがあり、借入残高の一部、または全額を直ちに返済する。
(3)使い道
- 原則、自由ではあるものの資金使途を銀行が認めた場合に限る。
- 事業性資金・金融商品(預金商品・投資信託・保険商品等)を購入目的は不可。
(4)利用期間
- 契約成立から1年。契約者双方から解約の意志表示がない場合自動更新。
(5)融資極度額
- 1,000万円以上2億円以内(100万円単位)、かつご自宅の評価額以内。
(6)利用可能額
- 融資極度額とは別に、実際に借入出来る金額の利用可能額を設定。借入本人の年齢に応じて銀行が定める一定の割合(利用可能割合)を乗じた額。
(7)借入方法
- 借入金額は1回あたり10万円以上、借入後の借入残高が利用可能額を超えない金額を上限。
(8)融資利率
- 変動金利型。銀行所定の短期プライムレートに連動する長期貸出金利を基準とする利率にて決定。
(9)返済期限
- 連帯債務者を含む借入人全員が亡くなった時、転居などにより担保不動産を売却する時に返済。
(10)返済方法
- 担保不動産の売却代金などにより一括返済。完済できない場合その他の資金で返済。なお、随時、お手許資金による返済や、借入人が亡くなった際に相続人からの手許資金による一括返済も可。
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