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痛みもなく副反応も無くあっという間に終わった
医師から「左右どっちの腕がいいですか?」と聞かれた。注射に恐怖を感じる私は緊張状態のあまり「どっちでもいいです!」と咄嗟に答えた。医師は注射嫌いを察したのか、「利き腕で無い方にしましょう!」とやさしく提案してきた。私は90度向きを変え、一呼吸しようと思ったときには、すでに終わっていた。
「献血の度に注射が怖いんです!」と思わずいい訳していたが、説明になっていなかった。献血は、毎回両腕を差し出し、太い針を刺しやすい腕を最初に確保し、もう一方の腕に針を刺す。まな板にのせられ本番を待つ状況と比べるとあっという間の出来事だった。
副反応として、注射部位の痛み、赤み、腫れ、かゆみや、頭痛、わきの下の痛みがあり、まれに、アナフィラキシー、血小板減少、知覚異常、急性神経根障害等があるとの事前情報から、かかりつけ医を持たない私は、家の近くの呼吸器専門医を検索し、新型コロナのワクチンのお世話になる可能性を秘め下調べを兼ね受診した。
接種費用は「定期接種」と「任意接種」で分かれる
法律に基づいて市区町村が行う「定期接種」については、京都市の接種費用は通常4,000円、市・府民税非課税者の場合は2,000円、生活保護受給者等は無料となっていた。希望者が各自で受ける「任意接種」の場合は、概ね7,000円前後から8,000円前後で施設毎に費用が違い、事前に確認が必要のようだ。
ワクチン接種の目的は肺炎球菌感染症を予防すること
肺炎球菌感染症は、肺炎球菌という細菌が引き起こす病気の総称で、肺炎以外にも中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎(ずいまくえん)などが含まれる。高齢者の一般的な肺炎の原因でもっとも多い菌のひとつで、咳やくしゃみ等で、ヒトからヒトへ感染する新型コロナウィルスと同じ飛沫で感染する病気だ。
肺炎球菌感染症の主な症状
中耳炎では、耳の痛み、耳漏(みみだれ)、難聴、発熱などの症状がみられる。肺炎では、食欲減退、咳、痰、発熱、息苦しさ、呼吸が速くなるなどの症状があるが、高齢者の場合は、これらの症状をはっきり認識できない場合があるようで、早期に痰や血液、尿検査を含め専門医の診断を受ける必要があるようだ。
菌血症は発熱を主症状とするものの、重症化すると敗血症になり、血圧低下、DIC(播種性血管内凝固症候群)、多臓器不全などの命に関わる重篤な状態を招くことがある。
髄膜炎では、発熱、頭痛、意識障害、項部硬直(首を曲げられない)、けいれんなどの症状がみられ、抵抗力の弱い人が罹ると、血液や髄液などに侵入IPD(侵襲性肺炎球菌感染症)となり、菌血症や敗血症、髄膜炎など重症化することもあるようだ。
今回接種したのはニューモバックス®NP
今回接種したワクチンは、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)で、肺炎球菌93種のうち23種類の感染を予防するニューモバックスを筋肉内に注射した。
接種の最大のメリットは、肺炎球菌感染症の重症化の予防にある。髄膜炎(ずいまくえん)や菌血症(きんけつしょう)などをひきおこす侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の予防が最大の目的だ。
肺炎の予防効果は、日本人の場合インフルエンザワクチンの併用で28%予防との報告がある。また、高齢者では、ワクチン接種から5年以内であれば33.5%予防したとの報告もある。一方、初回接種後の予防効果は3-5年で低下するとの報告があり、日本では初回接種後5年以上あければ2回目の接種(任意接種)をすることが可能ではあるものの、2回目以降の効果についてエビデンスは無いようである。
新型コロナワクチンが95%と耳にしている状況では、今回の肺炎球菌ワクチンは低いパーセンテージではあるものの、万が一感染した場合のリスクを考えると、忙しいとか面倒だとか言っている場合じゃない。
65歳以上の高齢者は、マスクや手洗いでコロナの感染防止対策をしながらも、肺炎球菌ワクチンも接種し万全な対策をとる必要があるようだ。
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