費用は全て自前、だからこそ、「価格以上の満足な宿」だけを選りすぐってご紹介したいと思います。
「文明的な生活を送るために必要なのは労働ではなく閑暇(かんか)である」古代ギリシャの哲学者アリストテレスの言葉があります。
余暇や休息、気晴らは、仕事の疲れをとるためでなく、本当の幸福とは何か、を考えるために必要な時間だと言っているようです。
移り変わりが早い時代には、仕事や生活のゆがみやひずみを、常に修正することが必要だと、言っているのかも知れません。
だからこそ、本当の閑暇が実践できる、源泉かけ流し加水加温無しの宿をご紹介したいと思います。
今回の「価格以上の満足な宿」は、須川高原温泉(すかわこうげんおんせん)です。
須川高原温泉は、那須火山帯に属する奥羽山脈の中央に位置し、岩手、宮城、秋田の3県にまたがる栗駒山の標高1627mにある温泉旅館です。
旅館は1126mの栗駒山の中腹にあり、北方中央火口丘である剣岳の北麗に位置する栗駒山の登山基地にあたります。
須川高原温泉は、源泉47℃~49℃の湯が毎分6,000L湧出するph2.2の強酸性の温泉です。
宿右手の登山道にそって流れる川は、源泉が勢いよく流れています。岩肌を眺めて入るプールのような露天風呂は、まさに自然の中の野天湯気分が味わえます。
宿の入り口奥にある大きな内湯は、日帰り湯でも利用できる乳白色の源泉かけ流し加水加温無しの湯は露天風呂共に最高の温泉です。
また、宿泊棟二階にある「霊泉の湯」は、宿泊者限定の浴室ですが、濁りが無く透明な48℃の源泉です。空気に触れず浴槽に注ぎ込まれているので、外の露天風呂や内湯と温度も色合いも違いかなり高温です。故に一歩足を踏み入れた瞬間「あぁ!熱つぅー!」と身を震わせますが、それをグッと我慢しては入ると、もしかして、アリストテレスの気持ちがわかるかも知れません。
湯に浸かる前の気構えとしては、湯船に足を踏み入れたら、いち早くス~~首まで湯に滑り込ませること。それだけです!!
何も考えてはいけません。我慢して浸かってしまうと、その瞬間から身も心もリセットされ、本当の「閑暇」を体感できること間違いありません。
車で行くには、東北自動車一関インターを出て国道342号線で80分。築館インターを出て国道398号線で80分。秋田自動車道十文字インターを出て国道342号線で80分。栗駒山の紅葉は10月中旬から下旬にかけて終盤を迎えますが、初雪の時期にもなりますので、天候の急変に備え冬用タイヤで出かける方が安心だと思います。
須川高原温泉へバスで行くには、岩手県交通株式会社のバスが利用出来ます。一関駅前(9番)から乗車、須川温泉で下車徒歩すぐです。
期間運行のため平成29年度は4月29日~11月3日迄でした。
国道342号線は、11月4日~4月下旬までの間冬季通行止めになり運行されません。運行期間中でも通行止めになることがあるため、一関営業所(0191-23-4250)に問合せをお勧めします。
【行き】一関9:00発→須川温泉着10:34、一関14:40発→須川温泉16:14(水曜日は旅館休業により運行中止)。
【帰り】須川温泉発9:00発→一関着10:26(水曜日は旅館休業により運行中止)、須川温泉15:00発→一関着16:26。険しい山間部のため天候等により運行変更の可能性があり、ぜひ事前確認をした方がいいと思います。
2名宿泊で1人一泊二食11,000円から13,000円の宿泊料です。施設は旅館というより山荘や山小屋風のイメージです。設備も料理もまったく普通で気を使うところが何も無く、ボーっとするには最高の環境です。但し期間営業のため年間を通して行けないのが残念です。
温泉三昧の温泉宿だからこそ、いつまでも続けて欲しい宿の一つです。
「ワークライフバランス」という言葉は、仕事半分、遊び半分といった考えや、仕事は適当遊びがメインなどと色々な考えがありますが、アリストテレスのいう「文明的な生活を送るために必要なのは労働ではなく閑暇である」との閑暇は、自由に時間を使えることに感謝して、その時間は自分に向き合う時間である。と言うことだと思います。
仕事の成果は、知識やスキルだけで発揮できるものではなく、家族、同僚、上司などとどう上手く関わるかによって大きく差が出ます。
仕事と遊びの相乗効果を得るには本当の閑暇が必要です。
秘湯の温泉には、閑暇を実践できる温泉が多くありますが、須川高原温泉はその中でも一押しです。
一度、行ってみてはいかがでしょうか。閑暇のために・・・
■あとがき:
「低料金なのに価格以上の満足な宿」を書こうと思った動機です。私は、東日本大震災が起きた時、仙台で勤務していました。
1000年に一度の大地震、最も大きな被害をもたらしたのは「津波」でした。幸い、仙台市内では、家財が壊れただけで家族共に無事でした。ただ、電気が止まり、ガスが止まり、水が出ない生活は初めての経験でした。
時間が経つにつれ、お湯に浸かりたいと思いました。そんな折、東北各地の旅館で、被災者を受け入れると宿泊料を補助するという復興支援制度ができました。
お陰で、方々の温泉宿を毎週のごとく巡り、源泉かけ流しの加水加温なしのパワーを知ることになりました。
それまで、温泉は豪華な建物に、豪華な食事、着物を着た仲居さんから走り回る娯楽リゾート地でした。
源泉かけ流しの加水加温無しだからこそ、24時間いつでも入浴でき、低料金なのにリッツカールトンのクレドにも勝る宿があることに驚きました。
当時、金曜日の晩から泊まって月曜日の朝、温泉宿から出勤することもありました。温泉の素晴らしさもさることながら、こんなにも「お金と時間」を効果的に使えることに感謝でした。
一人でも多くの人に、効果的な「お金と時間」を経験して貰いたいと思いこの記事を書くことにしました。
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