喫茶店のマスターが、高齢の母親が認知症で介護施設に入所したと言った。
母親の回復は期待できないため、住まいを解約する決断をしたと言う。
部屋の荷物を整理し、廃棄しようと片付けを始めたが、
アルバムを片付け出してから、手が止まった、ようだ。
母親が結婚したときの写真、父との旅行の写真、友達との旅行写真、
子供のころの写真、我が子の写真、親戚の集まりの写真など、
今まで生きてきた証しの写真がいっぱいあった。
祖父母の写真は、懐かしさのあまり見入ってしまった。
おじさんは青年のように若く、はつらつとしたおばさんは綺麗だった。
一枚一枚片付けていると、あっという間に暗くなった。
翌日から映っている写真を、楽しそうな写真だけを残しあとは全部捨てた。
自分にとっての思い出だけを残し、時代背景が分かる写真を数枚だけ残した。
自分亡きあと、子供が整理しやすいよう最小限に留めたという。
さて、自分が最初に手掛けるのは何か考えると、16冊の「卒業アルバム」だと思った。
自分にとって小学校から社会人になるまで、楽しい思い出はほとんど無かった。
高校のクラスの写真と部活の写真2枚を切り抜き15分で全て処分を終えた。
次に、結婚式から披露宴、新婚旅行に向かう駅で胴上げされるまでの「結婚のアルバム」だった。
結婚行進曲オルゴールが表紙に埋め込んだ、厚さ3㎝重さ3kgのアルバム3冊を片付けた。
先ず表紙と台紙を止めてある2か所の金属ネジを外し、
グルグル巻きにされた粘着性のある台紙から透明なフィルムを剥がし、
ピンぼけの写真と、感情の無い動きのない写真を剥がした。
その後、台紙に残った写真100枚を、一枚ずつデジカメで撮影しパソコンに張り付けた。
結婚式関連だけで2日間で6時間、前かがみの姿勢で背中が張り腰が曲がったままになった。
やはり、年をとってからするものじゃ無いと確信した。
次に、「長女のアルバム」だった。
生まれたばかりの赤ん坊を産婆さんが湯船につける写真から始まり、
這い這いする写真、よちよち歩きの写真、いとこと遊ぶ写真、
おじいちゃんやおばあちゃんに抱っこされた写真など最初に授かった子供の写真2冊。
古い写真は画像も悪く、表情が豊かな写真だけを記録として残したが整理するのに、
やはり2日間かかった。
学生時代のアルバム3冊、長女に「アルバムどうする!」って聞いたら、
「捨てていいよ!!」言う可能性が高かったので、
「家に持って行くから、要らなかったら捨てて」と言って無も言わず持って行った。
重いアルバム、個人情報の塊を一枚一枚剥いで捨てるのは重労働だった。
問題は次女だったが、フランスにアルバムを送ったら3万円かかるので諦めた。
最後に家族の旅行アルバムが山ほどあるが、これも写真撮影しパソコンに保存した。 思い出を残すもいいが、これからの思い出作りに労力を使う方がいい。
コメント