人付き合いには相性があり、苦手な相手がいるのは自然なことです。ある80代の女性は、根は悪くないと分かっているものの、人の話を聞かず、下品な振る舞いが目につくため、苦手意識を持ってしまう相手とどう付き合うか悩んでいます。彼女は社交的で世話好きであり、会えば必ず声をかけてくれます。しかし、無視することは自分にとってもストレスになり、避けようとすることも現実的ではなく、余計に負担が増してしまうでしょう。
過去を振り返ると、50年間勤めた職場では、苦手な人がいなかったのかもしれません。それは、周囲が気を遣い、適度な距離感を保ちながら接してくれていたからかもしれません。職場ではコンプライアンスが重視され、人間関係が尊重される環境が整っています。しかし、地域のコミュニティではそうした制約がなく、個人の価値観や常識に委ねられる部分が大きくなります。そのため、人との距離感の取り方が職場とは異なり、戸惑うこともあるでしょう。
こうした状況で心を軽くするためには、「行雲流水」のように物事に動じず、障害をかわしていく姿勢が大切です。しかし、目の前の相手の言葉や表情を気にしないようにするのは容易ではありません。そのためには、自分自身を振り返ることも必要です。職場で問題なく過ごせたのは、周囲が配慮してくれたおかげではなかったか。自分は常に正しく、間違ったことはないと考えてこなかったか。もし一度でもそう思ったことがあれば、相手の振る舞いもまた一つの人間らしさとして受け入れられるかもしれません。
人の話を聞かない態度に苛立ちを感じることもありますが、自分にも同じような時があったかもしれないと考えてみるのも一つの方法です。終活とは、自分のこれまでの生き方を振り返り、反省することでもあります。苦手な人の存在は、自分自身を見つめ直す機会を与えてくれるものです。そう考えれば、感謝の気持ちが湧いてくるかもしれません。
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