高齢者の転倒防止はデイサービで内履きに履き替えを止めることから2022

はじめに、

要介護1の義母は、週に2回のデイサービスを日々心待ちにしており、

迎えの車が来る20分前に身支度を終え、10分前には玄関で車を待っています。

出歩く義母の後ろ姿は心強く、いつまでも元気であって欲しいと願うばかりです。

「ピンピン、ひらり」を叶えるには、自分の足で歩くことが大変重要だと認識しており、

家族は、たんぱく質、脂質、炭水化物、水分量などを熟慮した食事摂取も、

健康維持につながることを信じて日々生活しています。

一方、義母の姿は、将来の自分たちの姿であることも踏まえ、

自分たちも快適に安全に暮らせる家づくりに気をかけています。

その中で、転倒予防を未然に防ぐことは最も重要な対策だと思っていますが、

デイサービスでは、先ず靴を脱ぎ、内履きに履き替える動作から始まります。

今更ながら、転倒リスクの高い高齢者に靴の履き替えをさせる理由が分かりません。

デイサービスに行くため車の乗り降りだけでも十分な運動効果が期待されるのに、

転倒リスクより靴の履き替えによる日常動作のトレーニングは必要なのでしょうか?

靴を脱いで上がるのは、自分の家だけで十分です。

外出先では、足のまま行動できるシームレスな動線が普通になって欲しいと思います。

転倒防止が「ピンピン、ひらり」を叶える

●国民生活センター:転倒事故の「場所」のランキングから、

転倒場所は、第1位が「居室」、第2位が「階段」、第3位が「台所・食堂」で大半を占め、

玄関、洗面所、風呂場、廊下、トイレと続きます。

床のわずかな段差、絨毯や敷居の段差が、すり足で歩く高齢者には足を取られ転倒リスクがあります。

わが家では洗面室や浴室、トイレ、台所・食堂の出入口の段差もすべて解消し、

玄関でカギを開けるときも、かがみ込みドアを押し開ける動作も不安定なため、

カギの施錠や解錠動作を無くし、顔認証付きドアに変更し安全対策を強化したいと思いました。

デイサービスで靴を履き替える意味?

義母が行くデイサービスでは、転倒リスクがあるにも関わらず、靴を履き替えさせます。

以下のような目的があるのかも知れませんが、ユニバーサルデザインを実践して貰いたいです。

❶坐位での脱ぎ履き動作は、体幹や下肢のストレッチ効果が期待できる。

❷脱ぎ履きで足底の感覚を得る回数が多いほど、転倒のリスクが減る。

❸足と手と目の関係により距離感が練習され、更衣動作の改善も見込まれる。

❹「靴を持っていく」朝の準備等での短期記憶改善につながる。

❺動作の習慣化により、自宅で外に自分で出られる自信となる。

❻TPOを考える事は、社会参加に大切な要素である。

日本文化のほとんどは、建物に上がるとき「靴の脱ぎ履き」が必要ですが、

個人の家だけで十分であり、地域社会には不要なルールです。

健康寿命には、安全対策ための投資が必須要

高齢者の転倒は、寝たきりになってしまうケースが高く安全対策が急務ですが、

部屋から廊下にでる、トイレに行く、入浴前の脱衣所を温かくする対策も重要です。

また、IHクッキングヒーターは、着衣への着火予防には火を使わない熱源対策が必要です。

玄関も段差を最小にし、靴を脱ぐ履きするために手すりの設置も必要ですが、

玄関ドアのカギを開け閉めや、カギの紛失やかけ忘れも想定し、

生体認証システムを導入し、安全対策と防犯対策も強化する必要があります。

健康寿命を全うするには、様々な危険や予期せぬトラブルを想定し、

未然防止のためのリフォームによる投資が必要です。

デイサービスにおいても、靴の着脱の負担を無くしシームレスな動線を確保すべきです。

介護事故の裁判例

事例1;ヘルパーが目を離したすきに女性がトイレで転倒、数時間後ヘルパーに「気持ち悪い」と

訴えたが、市販の胃腸薬を服用させ横になるよう指示。1時間後嘔吐で病院に搬送。

女性は頭蓋骨骨折で全身麻酔の手術により認知症進行。

事例2;大阪高裁平成19年3月6日判決。利用者が痴ほう対応型共同生活介護施設において転倒骨折、

転倒事故から2年後に死亡。裁判所は、「普段と異なる不安定な歩行の危険性があり、それが現実化して転倒に結び付いたものであり、職員としては、利用者のもとを離れるについて、せめて、利用者が着座したまま落ち着いて待機指示を守れるか否か等の見通しだけは事前に確認しなくてはならないのに、これを怠った」と認定。施設側の責任を認めた。つまり、職員としては、利用者が普段と異なる不安定な歩行をする可能性があったことを認識できた筈であるから、しかるべき対処をするべきだったのにこれを怠ったものと判断。

事例3;福岡地裁小倉支部平成26年10月10日判決。96歳だった利用者が、被告経営の特別養護老人ホームの短期入所生活介護事業サービスを利用中、転倒して傷害を負いその後死亡。

裁判所は、

①利用者の足腰がかなり弱っていたこと、

②訪問看護記録には歩行状態の不安を指摘する記載があること、

③訪問看護計画書にも、「・・・・転倒する可能性が高い」との記載があること、

④被告施設も利用者に対して歩行介助を提案していたことなどから、

利用者は基本的に歩行中いつ転倒してもおかしくない状態であったというべきであり、被告が本件事故を予見することが可能であったとしました。その上で、被告(施設側)は、利用者が歩行する際、可能な範囲内において、歩行介助や近接した位置からの見守り等、転倒による事故を防止するための適切な措置を講じる義務があったのに、これを怠ったとして、施設側の責任を認め。つまり、裁判所としては、職員は利用者が転倒する可能性があったことを認識していた筈であるから、事故防止のための措置をするべきだったのにこれを怠ったものと判断。

事例4;85歳・女性・要介護2が通所介護サービスにおいて、平成14年7月1日午後3時30分頃、

送迎車を待つ間いつもどおりトイレに行っておこうと思い、杖をついてソファーから立ち上がろうとした。

それを見た介護職員は、利用者が前かがみになりそうになったことから、転倒の危険から転倒防止のための介助をしようと考え、利用者に「ご一緒しましょう」と声をかけた。

利用者は、「1人で大丈夫」と言ったが、介護職員は、「トイレまでとりあえずご一緒しましょう」と言い、

ソファーからトイレの入口までの数メートルの間、付き添って歩き、歩行の介護をした。

利用者がトイレに入ろうとしたので、介護職員はトイレのスライド式の戸を半分まで開けたところ、

利用者はトイレの中に入っていった。利用者は、本件トイレの中に入った段階で、介護職員に対し、

「自分一人で大丈夫だから」と言って、内側から本件トイレの戸を自分で完全に閉めた。

その後利用者はトイレ内を便器に向かって杖をつきながら歩き始めたが、数歩、歩いたところで転倒した。

その結果、Xは大腿骨骨折の傷害を負い、後遺障害を残した(要介護4)。

利用者から介護職員に対し損害賠償を求め訴えた。

❶介護職員は、通所介護契約上、介護サービスの提供を受ける者の心身の状態を的確に把握し、

施設利用に伴う転倒等の事故を防止する安全配慮義務を負う。

❷介護職員は、通所介護契約上の安全配慮義務として、送迎時や利用者が施設内にいる間、

利用者が転倒することを防止するため、利用者の歩行時において、安全の確保がされている場合等

特段の事情がない限り常に歩行介護する義務を負っていた。

❸トイレは入口から便器まで1.8メートルの距離があり、横幅も1.6メートルと広く、

しかも、入口から便器までの壁には手すりがないのであるから、利用者がトイレの入口から便器まで

杖を使って歩行する場合、転倒する危険があることは十分予想し得るところであり、

また、転倒した場合には利用者の年齢や健康状態から大きな結果が生じることも予想しうる。

介護職員は、利用者が拒絶したからといって直ちに利用者を一人で歩かせるのではなく、

利用者を説得して便器まで歩くのを介護する義務があった。

利用者を一人で歩かせたことについて、安全配慮義務違反があったといわざるを得ない。

❹介護の専門知識を有すべき介護義務者は、要介護者に対し、介護を受けない場合の危険性と

その危険を回避するための介護の必要性と専門的見地から説明し介護を受けるよう説得すべきであり、

それでもなお要介護者が真摯な介護拒絶の態度を示したという場合でなければ、

介護義務を免れることにはならない。

❺介護現場において発生する事故・トラブルの中で、転倒事故が事故のうち8割を占めています。

歩行中、車いすやベッドからの移乗時、浴室・トイレ利用時、玄関での転倒が主な事故です。

靴の脱着は止めましょう。危険を冒してまで行う必要はありません。

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